飛鳥山公園   asukayama park  東京都北区

●キャッスルー

  京浜東北線・王子駅前の小高い丘になっている公園。規模も大きく、情緒もありよい公園だと思う。手入れも行き届いているように感じられた。
  写真はちびっこ広場の中央にある城。公設の公園にしてはちょっぴりデラックスなたたずまいがあると言えるだろう。屋根部分のとんがり具合も申し分ない鋭角さだ。屋根部分右下に見えるテラスもまさに城必須アイテムであり、本格的なつくりがここにも見られる。
  対雨性能といい、城であるというステータスといい、居住されても仕方ないくらいの魅力だが、そういう人はいなかった。
  あと、中央の柱はよけて撮れ、と自分に言いたい。

●ひかれるよ

  公園に人魚像などがあるといわくありげだが、何の説明もなされていなかった。いわれがある場合にはこのような彩色モデルではないだろう。
  ポーズ的におっぱいを隠しているともとれるが、向かって左ぱいの状況から察するに、手を下ろしたとしても髪の毛で隠れるのではないだろうか。手に持っているヒトデをはりつけて隠すというのもいいと思う。
  ホタテビキニというのは昔あったが、さらに過激にヒトデビキニ。もしブラもパンツもつくるなら、ブラはともかく、パンツしてのヒトデの性能には不安が残る。

●スタンダード蛸

  タコライド。アイテム集に収録済みのタコと型は同じと思われる。あのタコは青というモチーフとはかけ離れた色だったが、このタコは実に真紅。表情のとぼけ具合やはちまきを巻いている点から、たこはち系蛸とカテゴライズできるだろう。
  この種のディフォルメはタコの王道と言ってもいいと思うのだが、現実の生き物のタコとはずいぶん違うと思う。頭が丸い・足が８本・色が赤いという点こそ守っているが、現実のタコの持つ意味不明な物体という感じがまったくしない。
  見れば見るほど、腹が立ったり口元がほころんだり、緩急自在のライドで隙がない。

●つまっている

  貝ライド。二枚貝のものはこれまでにも見たことがあったが、巻き貝は初めてだ。大きさ的にはライドというよりも、準クライムといったほうが適切かもしれない。
  ご覧になった方の中には中身が空洞になっていることを想像してうれしくなった人もいないだろうか。が、のぞきこんでみるとそのようなことはなく、上面はまったくの平面。よじ登って上に立ち、征服感を味わうという遊び方もあるだろうが、その割には大きさが中途半端と言わざるを得ない。だが、中までしっかりとコンクリートが詰まっていることを想像してみるのも、大人のロマンと言えないこともないかもしれない。

●丁寧なのかやけくそなのか

  この公園にある固定式ライドの特徴として、まず複数の色で彩色されていること、そして同じ型のライドには別々の彩色がほどこされていることが挙げられる。固定式ライドは単色で塗られているものも多いし、同じライドがいくつかあるときでも、特に色は変えられていない場合が多い。そういった意味では、製作者の意気込みを感じることができる。
  実際、写真左のうさぎはとてもよいカラーリングだと思う。使われている色も、柄のパターンも違い、両者とも実によい。
  しかし、写真中のカメは使われれている色自体は同じだし、右のカメの配色には無理がある。そして、写真右のブタにいたっては、無理にその理論にこだわって失敗しているのではないか。むしろ、理論がどうこうというよりは、なんだこれというのが率直なところだ。

●もはやライドを超えた

  ぞうだ。すばらしいの一言。造形・彩色、そして大きさ、まったく申し分がない。特にその大きさは、ちょうどモチーフそのものというところで、非常に迫力がある。足の配置や口の開き具合、また鼻が少し持ちあがっているところなど、ぞうを愛している人間が設計したとしか思えない。インド人か。
  やはりライドやクライムとして位置付けるのは危険であると判断したのか、すべり台を支える台としての役割を果たしている。しかし子供は当然のように、すべり台上部の柵を乗り越えて、顔のあたりにぴったりしがみついていた。それでいい。

●商談対応

  ５角形なハウス。屋根の色も３色あり、精神力を働かせて見ればヨーロッパ風の町並みにも見える。ただでさえ風通しのよさそうなデザインに加え、換気用の窓が二つもついている。
  さらに特筆すべき点は、いすとテーブルが設置されているという点だ。単に語らうだけでなく、ビジネスの拠点としても利用できる。公園の遊具を子供の手から大人の手に奪い返した作品と言える。
  強いて弱点を上げるとすれば、横殴りの雨には弱いという点か。

●僕に厳しく、蚊にやさしい

  秋分の日に行った取材。天気はとてもよかったが、夏とは違い、陽射しも風もやはり秋を感じさせる。
  写真をご覧いただければわかるとおり、取材した時刻は夕暮れを過ぎようとしているときだった。相変わらず夏と同じように半そでと短パンといういでたちの私、蚊の方も夏と全く変わっていないようで、またもえらくたくさん刺された。お互い季節感というものをもう少し意識した方がいいと思う。(99/09/26)