●高速高架アニマル系
高速道路の高架下の公園は、ロケーション的に日当たりが悪く、人の気配がなかったり逆に居住者がいる場合が多い。が、この公園はそんなイメージから一線を画す工夫がある。
まず、なんのてらいもない「ゴリラ公園」というネーミングがかえって斬新だ。ゴリラを全面に押し出して公園を売っていこうという姿勢は果たして受け入れられるかどうかわからないが、子供たちには支持されているように見える。
この写真でもたまたま左端に写った子供は楽しそう。なにをしているのかは不明だが、手を後ろに組んで前かがみになって歩いているだけで楽しげだ。とにかくポーズがいい。
●楽しそうだなあ
公園内には簡易アスレチックといった遊具がいくつか設置してあり、それはいずれも子供たちに人気だった。この写真でもどうだろう、遊んでいる子供の様子は実に楽しげだ。ポーズも躍動感にあふれているし、表情は確認できなくてもいい意味での笑顔に違いない。
高速下の柱につきものの落書きも背景に見えるが、ネガティブな印象は与えないもの。むしろ独特の自体での「アイデア」という落書きは見る者に何か希望に近いものを感じさせる。
●自己追求型
２人並んで柱に向かいボール投げをしている人たちもいた。時折わずかに言葉を交わしていることからして２人は友達であろうと思われるが、決してキャッチボールをせず黙々と柱に向かって球を投げつづける姿は、やはりなにかを感じさせる。この場合は希望ではない何か。
左の人は腹が痛いようなポーズにも見えるが、現場で見る限りそんなことはなさそうだった。人はボールを投げる時、内股になる瞬間があるということがわかった。
●肉食わせろ
公園名の由来にもなっているゴリラ像。落ち着いて考えてみるとこんな大きなゴリラはいないが、そこはまあなんというか固いことは言わずにゴリラということにしておいていただきたい。
のんびりと遊びを楽しんでいる人たちからして、もっと親しみやすいゴリラでもよかったのかもしれないが、一人憤っている姿にはそれはそれでゴリラ感がみなぎっている。ぐにゃりと曲がった先の時計は実際に動いているのもそこはかとなく感動的だ。
●プリミティブなよろこび
でもやっぱり公園で遊んでいる子供たちは、ゴリラよりも純粋に遊びの方を楽しんでいる。考えてみればあの大きなゴリラでは遊びようがない。
ここでも壁に空いた小窓をはさんで遊ぶ子供たち。「こんにちは！」「こんにちは！」、決して言ってはいないであろうセリフを勝手につけたくなる魅力にあふれている。かがみ具合、足の曲がった角度。知らない大人が急に混じったりしたら雰囲気が台無しになるのを承知の上で、僕も仲間にいれてほしい。
●きのこにまたがって
他にもこの公園には、自転車用のオフロードコースがあるなどして、シンプルながらも遊び方には事欠かない。アクティブな遊びには無縁の私も、マウンテンバイクを所持していたころを思い出して乗ってみたい気持ちになる。でもそのマウンテンバイクは、ろくに乗りもしないうちに近所の小学生にあげてしまったことも同時に思い出されてきた。
写真のきのこはポイズン系のカラーリングだが、微妙なくたびれ具合がリアルさを演出している秀逸な作品。(00/03/05)