八王子公園  hachiouji park  埼玉県与野市

●不本意になりがち

ご覧の通りそれなりの面積をもった公園だ。奥に団地もあることから、昼間は幼児連れの親子が多い。それは取材する際に撮影が困難であることを意味する。というのは、幼児が遊んでいる遊具などを撮影するのは、母親からすると変質ティックなイメージがあるからだ。こちらが意図する被写体は遊具であっても、そうは解釈してもらえない気がする。粗大ゴミなどを撮っているのはある種変質だとも言えるだろうが、彼女たちが思うであろう変質とは違うのだ。
  「犬の放し飼い禁止」という看板があるが、その前を犬が思いきり駆け抜けていくのを何度も見たことがある。モラル万歳。

●充実の遊具群

  八王子公園の遊具は、そう多くはないが充実している。中央の塔から放射状に伸びるすべり台は、色使いの派手さからも子どもたちに人気があるようだ。その横には、タイヤがパンダ式に吊るされている遊具がある。動物園でパンダが楽しそうに遊んでいるあの遊具だ。人間用が先なのか、パンダ用が先なのかはわからないが、わたし的にはあれはパンダのためのものだと思っていたので、これで遊べばパンダ気分が満喫できる。また、やはり人気のある遊具であるターザンロープも設置されている。珍しいと思うのだがデュアルタイプで、両者の間が意外と狭い。搭乗時の干渉が気になるところである。
  また、アニマルライドはスプリング式の馬が三体用意されている。写真ではわからないが、目がイっている。多くのスプリング式アニマルライドは子供用に調整されているため、大人にはバネの力が弱く不安定になりがちだ。この三体も例外ではなかった。

●りすくん

  公園の入り口にある、車の進入を防ぐ柱の上には、躍動感あふれるリスの像があしらわれている。ポーズに数種類あり、いずれも愛らしい。かわいらしさ・かたい感じ・そして手のひらにちょうどよい大きさからして、もぎりとってしまいたくなるのは正解だ。実際私も、手にとってぐいぐいとやってみた。先方も承知済みか、かなり強力にくっつけられていて、ぐらぐらする感じなどはまるでない。しかし、正解なのはそこまでであって、本当にもいでしまうのは不正解だ。

  だが、誘惑に勝てずに力ずくでもいでしまった者がいるようだ。十数体あるうちもげているのは一体だけなので、生存率としてはかなり高いとも考えられる。私としては、もげていることでモラルの低下を嘆くよりも「やっぱ一体くらいもげてたほうが味があるよな」という気がするのかしないのか、はっきりさせないでおく。今ごろ文鎮として活躍しているのだろう。

●明るすぎ

  設備中心の解説になってしまっていることからもわかるとおり、味のある不法投棄物などはなく、ベーシックな公園としての性能が非常に高い。自販機はおろか、ごみ箱すらない点にも公園の独立性を出そうという気合が入っている。テニスコート・野球場・サッカー場などが隣接しており、日曜日になるとスポーツを楽しむ人たちでにぎやかだ。そんな公園を後にするとき、もげたリスの後に残された鉄芯を少しひっぱってみると、無理やりにでもさみしさを味わうことができるかもしれない。(99/04/03)