●なにが起きたんだい
大阪から阪和線で和歌山駅まで出て、南海電鉄の加太という駅で降りる。海水浴場を横目に自転車で走ること３０分ほどだろうか、などというロケーションの説明がどうでもよくなるくらい普通ではない様子が写真から見て取れると思う。おいおいここはどこなんだい、和歌山だよと言ってみても何かだまされているような気がしてならない。
わらわらと動物たちが入り乱れているだけで心騒ぐ趣きは充分だが、この公園はただたくさんの種類のライドたちがあるというだけではない。来訪者はその単純明快なコンセプトの持つ力に打ちのめされずにはいられないはずなのだ。
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●みんなどうかしてるよ
私はもうこの公園を体験してしまったので、初めて見る方がこの写真でどのくらいのことをお感じになるのか想像できない。とりあえずはその造形のリアルと、写真右に見られるようなディスプレイの工夫を挙げるべきだろうか。水がしっかりとかばが住んでいそうな色になっているのも見逃せない。
ただ、本当に注目すべきなのは中央の写真だろう。かばの背に乗っているのは私のリュックサック。この写真からその大きさを感じることができるかどうかは私にはわからないのだが、ここではあまり深くその大きさを思いはかっていただく必要はない。
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●乗れないくらいにリアル
左から、トラ・パンダ・らくだ。トラはトラライド略してトライドだ。
そんなことはどうでもよいわけで、いずれも共通してリアルな造形と大きさが挙げられる。トラの写真で比較していただけるとおわかりいただけるだろうが、大きさがモチーフの動物の実物大なのだ。通常のライドにまたがったところで、造形のディフォルメや小ささからして動物気分はあまり出ないのだが、これらのライドは違う。動くことこそないが、その動物に実際にまたがった感が強く感じられるのだ。
しかしそれはらくだに至ると、逆に大きさが仇となる。つまり、でかすぎてよじ登ることができないのだ。私もすごく乗りたかったのでがんばってみたのだが、どうしても上にあがることができなかった。リアルを追究するがあまり、ライド本来の楽しみが失われることとなってしまった作品と言えるだろう。
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●おかしくなっちゃったのかい
この公園のもう一つの特徴は、恐竜ライドがあるということだ。恐竜はアニマルなのかどうかよくわからないのだが、これらの写真にあるような作品にはアニマルというかわいらしい響きも感じられる言葉はふさわしくないだろう。恐竜というだけで気合いが入っているのに、さらにこれらも実物大であるわけだから公園製作者の気合いは並一通りのものではない。
子供の頃に恐竜展みたいなものを見に行った覚えがあるが、そこでの売りになっていた実物大モデルがここでは常設されているというわけだ。この公園はもちろん県立の無料公園であり、ご覧の通り屋内にあるわけでもないのでこれらは雨ざらしで設置されていることになる。
●もはやライドではないというかライドできない
いくら実物大と書いてみても、かばの背にリュックを乗せてみても、らくだに乗れないと言ってみてもその実感は伝わらないのだろうが、この写真はいかがだろうか。こういう世界が繰り広がっているわけなのだ。
そして、セルフタイマーで撮影した割になかなかよく撮れたということも書き記したい。シャッターを押した後、ダッシュで恐竜に駆けよって必死に首に飛び乗っているわけで、それは他人から見るとちょっとやばそうな感じがするのだろうが、あまりのでかさに出会った喜びはもう止まらなかった。
●昔にもどろうよ
さらにとどめを刺されるのがこのディプロドクス。しっぽの中ほどに人がうつぶせに寝ているのがわかるだろうか。でかさ極まり途方がなくなっている。ああでかい、ほんとうにでかい、ばかでかいのである。その大きさを前に、搭乗しようと気持ちなどふきとばされていく。実際しっぽから伝って背に登ろうとしたのだが、すぐに高さが怖くなって挫折せざるを得なかった。
ちなみにしっぽの人は知らない人。あなたのおかげでいい写真が撮れました。サンキュー他人。
●もう帰ろうよ
この公園のヘンになりそうな勢いはお伝えすることができただろうか。ちなみに写真左側の恐竜の口付近でわかるように、この恐竜は草を食べているところが再現されている。モデルがダイナミックな割に芸が細かい。
だが付近の住民はこの大きさに慣れっこになっているのか、私が訪れたときは地元と思われるおっさんたちがゴルフの練習をしていた。私は危険を顧みずにボールが飛び交う中、被写体にカメラを向けはじめた。煙たそうな顔をされたが、まちがっているのはおっさんの方だ。(00/10/16)