東中延公園  higashinakanobu park  東京都品川区

●無理をするな

  先に掲載している神明児童遊園は、東急大井町線の下明神駅すぐそばだったが、この公園は同じく大井町線の中延駅から徒歩５分ほどのところに位置している。駅としては下明神駅よりも中延駅のほうが商店街が発達しているなど、華やかな印象を受けた。が、公園自体はタコのような主軸となる遊具はなく、手は行き届いているもののたたずまいは地味。(神明児童遊園の補遺となってしまうが、あの公園のタコスライダー、数年前に携帯電話会社のコマーシャルで、広末涼子が滑っていたらしい)
  写真右に見える子供たちは、定員１名のブランコに複数名で搭乗して遊んでいた。ブランコ性能の限界近くまで激しく揺らしていて、ほとんど水平になりそうな勢いで、見ているほうがひやひやしがち。

●子供も見てますよ

  アシカだかオットセイだかのライド。ご覧の通り、２人乗り仕様。
  ２人乗りのライドはいつもひとりぼっちで公園めぐりをしている私にとって、少しばかり不快感を与えるものだが、このライドはさらに喧嘩を売っている。動物園でいちゃいちゃしているアニマルカップルを見るだけでも嫌な気持ちになるのに、彼らはアニマルであり、さらにライドなのである。なのにこの密着感。ライドを性教育の材料にするな。
  でも本当は息子や娘ができたら、向かい合って乗りたい。泣くまで激しく揺らしたい。そのためだけに埼玉から品川まで行きたい。

●老獪ライド

  くじらライド。初めて見るデザインだが、やはりこれまで見たくじらライドと同様に、背中から吹く潮がハンドルとなっている。これはライド界の常識なのかもしれない。
  色味的には若そうな印象があってしかりなのだが、その表情からだろうか、むしろ中年にカテゴライズするべき疲れが見られる。激しく揺さぶらないでくれと無言で懇願している風にも見えるのは、自分の心象を重ねているだけだろうか。
  そして、そこはかとなくあごがしゃくれてはいないだろうか。よくよく観察すると決してそれほどしゃくれていないのだが、どうもしゃくれているように見える。しゃくれマジック。

●任意ライド

  夫婦ライドやくじらライドのすぐそばには、こんなライドが置いてあった。このように完全に自由に運転できるものもそういえばライドと言えるのだろうが、多くの公園をめぐってきたものの、このタイプの遊具が公園所属としてあるのは実は初めて。盲点をつかれた気がする。フリーダムライド、もはやライドに枷はない。
  よい子号という名前には命名者の高齢ぶりがうかがえるが、大人の私は遠まわしに搭乗を拒否されてしまったようだ。｢園」の字が「口」と省略されているのは賢明。無理に書いていたら「■」になってしまっていたことだろう。

●所属ライド数記録更新

  アニマルライドばかりに気を取られていて気づかなかったのだが、よくよく見ると公園の一角はこんな状態だった。今までの公園観を打ち破るエネルギーが満ちている。多くのものには「東中延公園   よい子号」との記述もあり、よい子号は量産タイプと判明。
  小さな公園なのにこんなに多くのフリーライド。全てに子供がまたがる光景も想像したい。古典的な３輪バギーからベーシックな４輪ものとバリエーションにも富んでいる。中にはセルシオといった高級車を模したタイプのものもあり、混沌とした中にもライドのヒエラルキーが存在しているのかもしれない。

●もしかして、もしかして

  公園内の掲示。公園での犬関係の掲示というと、ふんをさせるな、放し飼いにするな、などといくつかのパターンがあるが、これはその中でも立ち入り禁止という最も厳格なタイプ。そのせいもあってか犬がちょっと反抗的だ。
  よくご覧になっていただきたい、犬を描く線がぶるぶると震えているのが確認できるだろうか。さすがに書くのがためらわれるのだが、もしかしてこれは描いている犬がブルドッグだからなのだろうか。
  ブルドックだからぶるぶる。ブルドックだからぶるぶる。２回書かせる何かがある。

●ライドの興奮をご家庭に

  小さいながらも、妬んだり力が抜けたりと忙しい公園だった。路地裏系に属する地味な公園のタイプだと思うが、斬新なブレイクスルーを提示してくれた。
  写真はばらまかれたフリーライドのうちの１つ。軽量で持ち運びも容易な材質でできているが、造形的なうま感は下手なうまライドよりも優れており、脳天をつきぬけるハンドルも再現されている。揺らし機能的にも、自宅で手軽に本格的なライディングプレジャーを楽しむに十分な仕上がりだ。
  いくらぐらいするのだろう。と、無駄遣いの予感。(00/04/17)